学位(学士・修士・博士)サポート
学位取得についてのお問い合わせ
(版権はすべて知育研究会に属します。コピー、転載は堅く禁じます)




ここでは、高度な学問と専門性を身につけるために、大学においてどのようなコースと取得資格(学位)があるのか、その特徴について一般的な概論を述べます。また、学位取得後、それらを生かしてどのような社会的道が切り開けるのか、学位取得の利点についても触れたいと思います。





学士(大学学部コース)

学士とは、大学の学部を修了すると得られる資格です。大学は、学術の中心機関として幅広い知識と深い専門性を教授し、知能、道徳性、応用力を展開させることを目的としています。学士を得るためには、自分の希望する4年制大学(医・薬学部では6年制)に入学し、その規定の単位を取得して卒業しなければなりません。実際に学士を取得すると、学士の前には学部名が付けられ、理学学士、教育学学士のように専門で区別されます。
以下、簡単に学士取得までの流れを簡単に見てみましょう。


入学方法

大学に入学するには、大きく分けて3つの方法があります。

1. 高等学校卒業あるいは大学入学資格検定の資格を持った人が入学する方法
2. 短期大学、専門学校あるいは高専を卒業した後、3年次に編入学する方法
3. 一度大学を卒業し学士を有しているものが異なった分野を学ぶために2, 3年次に編入学する方法(学士入学)

いずれも大学の学部学科で定められている入学試験に合格しなければなりません。また近年は入学試験と一口に言いましても、形式面、内容面、日程など多岐に渡り非常に多様化していますので、的確な情報に基づいて受験勉強と準備を進める必要がございます。情報に翻弄されるのではなく、情報をコントロールする必要がございます。

それには、大学を出てから何をするかという、人生の大目標をまずきちんと定め、そのためにはどこの大学に行くべきかと決定する方法もあります。学ぶ段階といたしましても、大学以上はその主体性を求められます。主人公は自分であるとの自覚を強くもって、選択し行動し学習をして頂きたいと思います。
 


学部のカリキュラム
入学後は、自分の学科のカリキュラムに沿って、講義や実習等を履修していきます。一般には、幅広い理論の知識と教養を深めるため、1−3年次では講義が中心となっています。3−4年次では、さらに学科の専門性を深めるため、実習やゼミ、研究といった実践的な課題研究が求められます。ゼミとはゼミナール(Seminar)というドイツ語の略であり、演習と訳されます。

Seminarとは苗床を意味するラテン語を語源としています。これは、自主的に調査や研究をする少人数の学生が集まり、教師の助言や指導を受けつつ、その結果を発表し合い教師をも含め討論を行う形式の授業です。

この繰り返しにより、その学問分野に関する伝統的研究手法や洗練されたスキルを修練させることを狙いとしています。つまり、教師が一方的に知識を流し込む講義や講読とはこの点が異なります。この形式は、中世ヨーロッパで、当時の学者である僧侶の思考方法の訓練からはじめられたと推察されています。ドイツの歴史学者Leopold Rankeなど先覚者に依って日本の大学に導入されたと言われています。

ゼミナール自体は今日では大学教育の枠を超えて、一般市民対象の生涯学習、マスメディア主宰の公開討論会等にも多用されています。アカデミックな雰囲気を醸しつつ自己発信型の思索をし、討論するというニュアンスが現代人に受け入れられているのでしょう。

多くの大学では、3年次に自分の専門分野と指導教官を選択し、指導教官の指導のもと研究を行い、卒業時に研究発表や論文提出をまとめます。研究を行うことによって、研究の発想や手法を学び、それらをまとめる技術が身につきます。指導教官と専門分野の選択は、自分の興味・関心や教官の指導力などを考慮し、慎重に選択したほうがよいでしょう。なぜならば、そこはより生きた学問に出会えるチャンスだからです。よい学習環境、充実した議論、人生経験を積み上げることによって、その後の将来の展望が開けるものです。

また、近年では、大学に通わずに自宅学習などで勉強できる通信制大学が注目されています。通信制大学を設けている大学は限られていますが、高校卒業資格かそれ相応以上の学力がある、または大学入学資格検定に合格しているなどの条件を満たす限り、だれにも入学資格が認められます。主に課題レポートを提出し、卒業試験に合格すれば、4年制大学と同様に学士の資格がもらえます。
 

期待される社会的評価
学士取得者は幅広い分野で活躍しています。大学院に進学する、一般企業へ就職する、公務員に就職する、あるいは海外留学する等、それらの多くが学士レベルを採用条件に掲げています。






修士(大学院修士課程/博士前期課程)
 修士とは、大学院修士課程を修了すると得られる資格です。大学院では、さらに高度の専門学識と応用力を習得し、社会的に貢献する専門分野の人材育成を育成するのが目的です。大学院には、修士課程、博士課程があり、前者を博士前期課程、後者を博士後期課程と呼ぶこともあります。ここでは、修士課程(あるいは博士前期過程)について詳しく述べたいと思います。

修士課程では、専攻分野における専門性と研究能力を養うことを目的とし、修業年数は2年となっています。卒業後は〇〇修士として高い専門性が認められます。

入学方法
修士課程入学には、大学卒業あるいはそれと同等な学力を有することが条件で、各専門分野においての必要な基礎知識や語学力、研究意欲などを評価するために、筆記試験と面接が施されます。大学院入試試験では各大学の出題傾向をよくつかむことが大切です。場合によっては大学の講義内容が中心に出題されることもあり、外部受験生には不利になることもあります。入試前は過去問題などを手に入れ、綿密な計画を練って勉強していってください。また下記のページも参考にして下さい。

院試対策と主要大学の傾向


また、入学時に専門分野と指導教官を決めます。入試前には大学院ガイダンスが開かれることも多く、各分野の研究説明や環境設備、指導教官の研究内容などを聞くことが出来ます。興味ある大学のホームページなどでガイダンスがいつ行われるのか確認しておくとよいでしょう。

全般的な傾向として、理工系、医・薬学系、農学系の大学院への進学率が高いようです。それは、これらの分野は大学で学んだだけでは専門技術を習得しきれず、さらなる勉学が必要になるからです。



修士課程のカリキュラム
修士課程の勉強内容ですが、講義と修士研究の二つに分けられます。時間的には修士研究にウエイトが置かれます。講義では、学部で勉強したレベル以上の専門分野の内容を勉強します。内容や課題が難しくなり、授業時間外に勉強することも多くなります。しかし履修単位数は学部時に比べても少ないので、大抵の学生は、1年次に講義の必要単位を取得することができます。

修士課程で重要になるのが修士論文で、研究もより本格的になります。修士レベルでは研究テーマは指導教官が与えることが多いようですが、それにどれだけ自分のアイデアを盛り込めるかが、論文の出来や評価につながります。基本的には、まず研究に入る前の準備として、1年次から必要な論文や参考文献を読み、研究背景を把握しながら自分の研究テーマの意義を深めます。そのために、同じ研究室で行われる研究発表や論文(教科書)輪講ゼミなどに参加することも必須になるでしょう。また、研究に必要な技術も学んでいかなければなりません。実験・観測技術や解析手法、プログラミング、データ収集方法、研究発表技術など、分野よって多岐にわたります。

さて、いよいよ自分の研究テーマに取り組んでいきます。研究とは今まで誰にもやられていないオンリーワンでなければなりません。しかし、自分の研究テーマに似た研究を先人が行っていることも多く、それらとの違いを念頭におきながら、時に吸収し時に比較して、自分の研究の方向性をチェックすることも大切です。実際にどのような着眼点でどのような手法で行っていくかは、指導教官と議論しながら進めていくでしょう。

研究成果が出てきたら、ぜひその分野の学会発表やワークショップに参加し、研究報告を行います。まとまった研究成果ならば、ぜひ論文誌に投稿し研究成果を歴史に残して行って下さい。研究は発表して価値が出ますので、積極的に行ってください。

修士研究のまとめとして、修士論文の作成があります。提出期限の数ヶ月前から構想を練るなどの準備を行い、およそ1ヶ月前から本格的に書き始めます。説得力ある論文にするためには、構成を練り、図や表を使って論点がわかりやすく展開されなければなりません。書き始めてから、何度も手直しすることも必要になりますので、仕上げるまでに思った以上に時間がかかることを念頭におき、少しずつ書きためていくのもよい方法です。書き上げた論文は、共同研究者や信頼ある先生などに渡し、直してもらうようにしましょう。

最後に、修士研究の発表会が大学の各専攻で行われ、発表と論文両方による論文審査が行われます。博士課程に進学する人は、これが入学試験になります。
規定の単位を修得し、論文審査に合格したものが、晴れて修士となります。



期待される社会的評価
修士になると、専門学術を身に付けた人材として、より専門職の一般企業・公務員などの就職に有利になります。特に理工学系では、最低修士取得者でなければ技術職につけないところもあります。また、修士取得者は若く技術も持っているということで、博士取得者よりも採用が多いとも言えます。一般企業で技術を生かしたい人、国家公務員上級を目指す人、国際分野で活躍したい人などキャリア就職を目指すなら、修士を持っていることは大変有利です。






博士(大学院博士課程/博士後期課程)

博士とは、大学院博士課程(博士後期課程)が定める規定に合格すると得られる資格です。博士課程は、専攻分野における自立した研究者、または高度な専門業務に従事する者として、必要な研究能力と豊かな学識を養うことを目的としています。修業年数は通常3年になりますが、博士論文の水準の高さから、さらに長くかかってしまう場合も少なくありません。特例として、優秀な研究であれば早期に卒業できる制度を活用しているところもあり、博士までの道のりは本人の実力次第です。

博士の取得方法は、二つあります。一つは、大学院博士課程に在学し規定の単位と博士論文の審査に合格する方法で、課程博士と言われるものです。もう一つは、論文博士と言われる方法です。論文博士とは、大学院博士課程を経ない者であっても、論文を提出してその審査および試験に合格し、かつ専攻学術に関し広い学識と研究指導能力を有することが確認された場合に認められます。また、以前博士課程に3年以上在籍し、博士を取らずに教育課程を修了し退学した人でも、論文博士制度が適用されます。
ここでは、課程博士について紹介します。

入学方法
博士課程に入学するには、修士あるいはそれと同等な学力を有することが条件になります。修士課程と同じ大学専攻の博士課程に進む場合は、修士論文の評価が入学試験になります。外部の修士課程から編入学する場合には、入学試験が実施されます。具体的には、一次試験では筆記試験と面接、二次試験では内部進学生と同等の修士論文審査です。筆記試験は修士課程の入学試験と同様に、専門科目や語学試験が課されます。外部から編入学するのに重要なのは、まず受け入れ教官とのコンタクトをしっかりしておくことです。教官が受け入れを認めるならば、比較的スムーズに決まることもあります。

博士課程に進学する人の多くは、将来、研究職や技術職、大学の先生などに就くことを目標にしています。進学者の研究系の内訳は、医・薬学系、工学系、理学系といった研究開発の目覚ましい分野が多いようです。

博士課程のカリキュラム
 博士課程の学生に課される講義はほんの少しです。ですから、研究室のゼミに参加する以外は、各自の研究に専念します。博士課程では、一人立できる研究者の育成を掲げているため、研究においても、自分自身の力で切り開かなくてはなりません。研究目標の設定や手法、考察など、自分のアイデアを提示し、指導教官や周囲の研究者と議論して、研究を作り上げていきます。この時期、できるだけ多くの学術発表と論文誌への投稿をすることが、研究生活においても研究職への就職においても有利になります。大学によっては卒業条件に論文誌への投稿数が出されているところもあります。

博士論文の審査方法
博士の学位論文は、学問の進歩に重要な貢献をなす学術的価値を持ったものでなければなりません。そして、学位を授かる者は、博士論文の学術的内容を含む分野に関して十分な全般的知識を持ち、独立して研究を遂行できる能力を持っていなければなりません。

これらに匹敵する内容の研究がある程度固まった時点で、指導教官のGOサインがあって初めて論文審査の手続きに入ります。早い人では在学中に出来ますが、最長2年在籍(留年)してその間にすることも出来ます。
審査方法は、博士論文提出による論文審査と研究発表です。論文審査では訂正や書き直し、あるいは内容により値しない論文は却下されます。論文審査に合格すると、審査発表が行われます。論文提出から審査発表まで規定期間以内で行われなければなりません。



期待される社会的評価

博士としての専門性と学術面における評価は世界的に通用します。特に、大学や研究機関、国際機関では博士を持っていることでトップクラスの地位に就職することができます。しかし、博士課程進学者の一番の問題は、その価値に見合う就職ポストの少なさです。本来の研究職のポストには数に限りがあり、常勤の大学の助手や研究員になれることは、そうありません。現在、多くの博士取得者が研究を続けるために、ポスドクあるいは学振といわれる制度を利用しています。これは期限付き(3年)研究員といえばよいでしょう。ポスドク制度はアメリカや諸外国でより一般的な制度ですので、ポスドクとして海外で研究をする人も多くいます。ポスドクは期限が限られているので、その間に最終就職先を考えていく必要があります。

長い間学校に通い続けた人間には、一般に、世間の荒波をかいくぐり、自らそれをコントロールし、支配しようとする気概に欠けるものが多いと推察されます。高められた専門性をもとに、起業するなり専門家のネットワークをつくりなりして、既成社会組織や国家組織に頼らない強靭さを求められるでしょう。自分に合致したポストがないと嘆くdoctorもいますが、この様な依頼心は前世代の遺物として、ポストがなければ自分でそれに見合うポストを作るくらいの気概が、これからは必要であると思います。

高められた専門性が、教養主義の対概念であるとするなら、謙虚さと注意深さが不可欠だと思います。これなくしては、能力を開放せず硬直する方向に働くからです。専門性から多少乖離した仕事であっても、そこにどのような宝が秘められているか分からない魅力を感じ果敢に挑戦するのが真の教養というものでしょう。偏狭なセクショナリズムは、博士の学位を取得する助けにはなりましょうが、世間にも世界にも通用しないと思われます。世界は今その方向に動いていますし、世間はそのような人材を求めていることと思われます。

オーバードクター(over doctor)なる和製英語があります。これは博士を乗り越えた(over)学位という意味ではございません。大学院博士課程を修了したが就職できないでいる状態を指し、現実的はこの様な方もいます。オーバードクター問題という専用サイトもございます。

一般に民間企業では、博士取得者よりも学士・修士取得者の需要が多くなっています。それは、年齢がいった、高い専門性のある人材よりも、学士・修士レベルの人材を企業の経営方針に柔軟に対応させつつ育てていくほうが、企業と双方の成長につながると考えているからです。
このような厳しい就職状況と、長い学生生活の経済的な問題などで、中途退学者も多くいます。博士取得には、強い意志と努力、柔軟な将来設計が必要となってくるでしょう。

ノーベル化学賞と物理学賞という異分野に渡るノーベル賞を受賞したMarie Curie(1867〜1934)は、若き頃食べ物を買うお金が無くて飢えのため何度か失神したと言われています。純粋に学問に対する愛情のみで、彼女は研究に没頭したのでしょう。学問以外の一切は、彼女にとり無価値だったと思われます。死後70年も経つのに彼女を語り継ぐ人は多く、これからも人類史の文脈の中で語り継がれるでしょう。それは彼女の学問への純粋な愛情にございます。世間は学位があるというだけで敬意を払いません。世俗をかえりみず世界に貢献しようとする純粋な献身的なその姿にこそ、賞賛を浴びせます。世俗をかえりみない純粋さ故にこそ、真の学者は尊敬されるのです。

博士課程ご希望の方は、下記「博士課程の現実」をもご参照下さい。

学位取得についてのお問い合わせ
(版権はすべて知育研究会に属します。コピー、転載は堅く禁じます)

博士課程の現実:心構え・奨学金
T.レポート執筆方法 初級講座
U.論文執筆方法 初級講座
研究計画書の執筆方法 初級
論文執筆のための詳細設定
院試傾向対策講座 初級
文献検索システム
電子図書館サービス